名古屋で相続・遺言に強い三輪総合法律事務所弁護士:三輪陽介

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相続について|みんなの疑問13

遺留分制度とは

遺言(いごん)は、死者(被相続人)が
その最終的な意思を表示するものであり、
原則としてその内容は自由とされています。

従って、複数人相続人がいる場合でも、
長男にのみ遺産を全て与えるといった内容の遺言も作成は可能です。
しかし、被相続人の名義の財産といっても、配偶者や子などの家族の協力
により形成されたと考えられるものもありますし、
また残された家族の今後の生活を保障される必要があります。
ある程度の部分については相続人に確保されなければなりません。
そこで、民法は、一定の相続人に対して、
一定割合の相続財産を残さなければならないとしており、
これを「遺留分(いりゅうぶん)制度」といいます。

弁護士 三輪 陽介

弁護士 三輪陽介

遺留分とは

遺留分(いりゅうぶん)とは

「遺留分」とは、兄弟姉妹以外の法定相続人に、相続財産のうち法律上留保されることが保証された割合のことをいいます。
被相続人が他の相続人に対し贈与したり遺贈したりしても、相続人が取り戻したり、引き渡しを拒むなどして留保できるものをいいます。

遺留分権者

遺留分を請求できる遺留分権者は、相続人のうち、配偶者や子等の直系卑属、父母等の直系尊属であり、被相続人の兄弟姉妹やその子には遺留分はありません。

遺留分の割合

遺留分の割合は、直系尊属のみが相続人である場合は相続財産の3分の1、その他の場合は相続財産の2分の1となります。
例えば、相続人が配偶者と子2名の場合は、母親の遺留分割合は、遺産の2分の1の法定相続分の2分の1の4分の1となり、子の遺留分割合は、遺産の2分の1の法定相続分である4分の1の8分の1となります。

遺留分算定の基礎となる財産

具体的に遺留分として取得できる財産は、遺留分算定の基礎となる財産から算出し、この算定の基礎となる財産は、遺産の価格に一定の贈与した財産の価額を加え、この価額から債務を控除したものとなります(民1029条)。
この贈与は被相続人の死亡前1年にしたものか、贈与当事者の双方が遺留分権利者に損害を加えることを知ってしたもの(民1030条)のほかに、相続人の中に婚姻、養子縁組のために若しくは生計の資本として贈与を受けたものがあるときはその受けたものとされています。
そしてかかる算定の基礎となる財産を前提として、遺留分割合から遺留分請求者が既に贈与を受けた財産の価額を控除したものが、具体的に遺留分として取得できる金額となります。

遺留分の行使方法

遺留分減殺請求の相手方

遺留分減殺請求権の相手方は、遺留分保全のために減殺されるべき処分行為により直接的に利益を受けた者、受贈者又は受遺者及びその包括承継人、悪意の特定承継人・権利設定者です。

遺留分請求の通知方法

①:遺留分の意思表示
遺留分の意思表示は、裁判外又は裁判上いずれでも認められますが、積極的に相手方に対して、減殺請求する旨の明確な意思表示をすることが必要です。

②:郵便による通知
遺留分請求の通知については、後になって通知を受けたことがないなど言われないように、遺留分減殺請求の通知をしたことが証明できる内容証明郵便によって行うことが通常です。

③:調停の申立て又は調停中の陳述
遺産分割の審判・調停の申立てについては、被相続人の全財産が相続人の一部に遺贈され、他の相続人が遺贈の効力を争うことなく、遺産分割協議に応じたときは、特段の事情がない限り、その申し入れには遺留分減殺の意思表示が含まれるとした判例(最判平成10年6月11日)があります。

但し、後で争いとなる可能性もありますので、調停の申立てだけでなく、別途、前述した内容証明郵便を送付するなどして、明示の遺留分減殺の意思表示を行っておくのが安全だと思います。
また既に、係属している調停中において、遺留分減殺の請求をする旨の陳述をする場合は、この旨記載をした書面について相手方に受領印をもらっておくことがお勧めです。

④:訴訟中の陳述
訴訟手続中で遺留分減殺請求をすることを主張してもよく、また被告の抗弁として遺留分減殺請求をすることを主張してもよいですが、この場合も明示の意思表示が必要です。

遺留分減殺請求の行使期限

遺留分減殺請求権の行使期限

遺留分減殺請求権の行使は、遺留分権者が相続の開始と減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ってから1年以内に、 相続開始時から10年内にしなければなりません(民1042条)。
この期間については、前者が時効期間であり、後者が除斥期間であるとするのが多数説です。

遺留分減殺請求権の消滅時効の起算点

1年の消滅時効は、「相続の開始」及び「減殺すべき贈与又は遺贈があったこと」を知った時から進行します。
そして「減殺すべき贈与又は遺贈があったこと」を知ったときとは、ⅰ「贈与又は遺贈の事実」及び ⅱ「贈与又は遺贈が自分の遺留分を侵害し減殺することができるものであること」を知ったときであると考えられています。

遺留分減殺請求の対象となるものの順序

遺留分減殺請求は、遺留分を侵害している遺贈・贈与について行いますが、それは遺留分に充つるまでしかできず、 またその順序は、遺贈について減殺した後に、贈与を減殺することになります(民1033条)。
また贈与は、後に行われた贈与から順時前に行われた贈与について減殺していくことになります(民1035条)。

遺留分の放棄とは

遺留分の放棄は認められる?

遺留分が認められると、被相続人が事業などを行っている場合に、相続の発生により自社株や事業用資産が細分化してしまう可能性があります。
後継者以外の相続人に遺留分を放棄してもらうことが、事業承継上得策な場合があります。
それではこのような遺留分を放棄することは認められるのでしょうか。

遺留分権者の遺留分の放棄は可能

相続の開始前に相続を放棄することは認められていません。
しかし、遺留分権利者が遺留分を放棄することは可能とされています。但し、相続の開始前に遺留分の放棄を無制限に認めると、親により強要されるなど、自由意思を抑圧されるなどの濫用の可能性があることから、家庭裁判所の許可が必要とされています(民1043条1項) 。
従って、遺留分放棄の念書などを差し入れているだけではだめで、家庭裁判所に遺留分の放棄許可の審判を申したてることが必要とされています。
そして家庭裁判所は、遺留分放棄許可の審判の申立てがあると、遺留分権利者の意思、放棄の必要性、合理性、代償の有無等を考慮した上で放棄を認めるか否か決定しています。

遺留分権者の遺留分の放棄は可能

遺留分の放棄の効果ですが、遺留分を放棄したものがいるからといって、他の相続人の遺留分や相続分が増えるわけではありません。
被相続人が自由に処分できる財産の範囲が増えるにすぎません。
遺留分を放棄したものも、遺留分減殺請求権が行使できなくなるだけで、相続開始後に相続人になることに変わりありません。
なお、相続開始前ではなく、相続開始後であれば、遺留分の放棄の意思表示をすることにより、家庭裁判所の許可なくして、自由に遺留分を放棄することは可能です(名古屋地判大5・6・20)。

遺留分の手続について

それでは遺留分の問題がある場合どのような手順で解決すべきでしょうか。

まずは早急に遺留分減殺請求の行使をしましょう

まず、遺留分に関しては、期間制限がありますので(遺留分権者が相続の開始と減殺すべき贈与・遺贈があったことを知ってから1年以内に、相続開始時から10年内にしなければなりません(民1042条))、何よりも大事なことは、遺留分減殺請求を行っておくことです。

そして、後になって通知を受けたことがないなど言われないように、遺留分減殺請求の通知をしたことが証明できる内容証明郵便により、相手方に通知をしておくべきということは以前お話した通りです。

従って、遺留分権者が、遺留分を侵害している遺言書を発見するなどした場合は、できるだけ速やかに遺留分を侵害している受遺者を相手に、内容証明郵便により通知文を送付する必要があるでしょう。

話合いで解決できない場合は、調停手続で

その後、話合いなどで遺留分の返還を求めて、当事者間において話し合いで協議することになりますが、当事者間において話し合いで解決ができない場合は、どのような手続をすべきでしょうか。

遺留分に関する紛争は、被相続人の相続に関する紛争ですので、まずは家庭裁判所の調停手続を利用することになります(調停前置主義) 。

調停が不成立になった場合は訴訟提起を

その後、調停手続が不成立に終わった場合にはじめて、相続開始時の被相続人の所在地の地方裁判所ないし簡易裁判所に訴訟提起を行うことになります。

従って、遺留分に関する争いがある場合には、まずは家庭裁判所の調停を経なければならず、いきなり訴訟を提起はできないとされています。

弁護士から

相続をめぐる相談をさせていただいていますと、親族間において遺留分をめぐる紛争が発生することが非常に多いです。
特に、兄弟の中の一人にのみほとんどの遺産を渡す内容の遺言を作成した場合,遺留分を巡る争いが発生することがよくあります。
このような相続人間の遺留分をめぐる争いを未然に防止するためには、相続人の遺留分の割合に配慮された遺言書を作成しておくことが大切です。
詳しくは弁護士にご相談下さい。

弁護士 三輪陽介

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また、他の相続に関する記事も
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みんなの疑問!⑨

遺言とは

遺言がない場合、遺産は民法の定める相続分に応じて法定相続人が相続することになります。
様々な遺産が複数ある場合には、相続人間で、分割方法について遺産分割協議をして決定しなければなりません。
他方で、遺言がある場合は、その内容が何より優先されることになります。
生前特に面倒を見てくれた相続人に法定相続分と異なる割合で相続させることができますし、 相続人間の公平を考えながら分割方法を指定しておけば遺産分割をめぐる紛争を事前に予防できますし、 その後の相続手続も円滑に進むと思われます。相続人としては、相続開始後、遺言書がないか、必ず確認をしておく必要があります。
そこでここでは民法の定める遺言についてお話したいと思います。

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